日産自動車株を、さらに半分手放した理由
高配当株として持っていた日産株ですが、昨年半分手放し、今回のゴーン逮捕を受けて、今朝、さらに半分手放しました。
残っているのは4分の1です。
ゴーン逮捕を受けて、日産株をどうするか。
パニック的に売ることはせず、報道やブログ、株の値動きなどをいろいろ見て考えた結論です。
その理由を書いてみます。
事件翌日、日産株は大幅下落しましたが、高配当に支えられて、950円付近で踏みとどまりました。これは、予想配当利回り約6%という水準です。
配当金額が変わらなければ、配当利回りの高さから、日産株がこれ以上大きく売り込まれることはないと思います。ですから、ホールドという選択肢も考えました。
しかし
配当金額が変わらないのか?
ということについては、疑問があります。
日産の高配当の理由は、大株主であるルノーへの送金目的でしょう。
日産の発行株式は42億株。このうちルノーが18億株を有しています。2019年3月期予想の年間配当金は57円。つまり、実に年間1000億円以上が、ルノーに支払われるのです。
個人株主は、このルノーへの送金のおこぼれに預かっているわけです。
今回のゴーン逮捕の真相はわかりませんが、以下の記事が参考になります。
基本的にはクーデターという見立てで、私もそう思います。
となると、日産の取締役会が反ルノー派でまとまれば、ルノーへの送金を引き下げようとする動きが出てくるでしょう。
ここでポイントとなるのが、ルノーがそれを許すのか、ということです。何しろ43・4%の大株主ですから、ルノーが反対すれば減配はできないと思うのです。
ただ、日産がルノーの支配を脱することができれば、話は変わってきます。
それについて、この記事は、次のように書いています。
見直したのは出資比率引き上げの際の手続きだった。現在、ルノーは日産に43・4%、日産はルノーに15%、それぞれ出資して株式を持ち合っている。日本の会社法上、日産がルノー株をさらに10%買い増して25%以上の出資比率にすれば、ルノーの日産に対する議決権が消滅する。
ルノー株を10%買い増せば、ルノーの議決権が消滅するわけです。
ルノー株の時価総額は約170億ユーロ。10%なら17億ユーロ(約2100億円)です。つまり、ルノーへの配当の2年分を投資すればルノーの議決権を無効化できるのです。
仮にこれを実行した場合、当然、日産は、ルノーへの献上金=高配当を改めるでしょう。減配が行われるのは確実です。
減配された場合、日産がいまの株価を維持できるか疑問なのは、いうまでもありません。
日産の取締役会メンバーは9人。上記記事によると、社長の西川派は4人。ゴーンとケリーが解任されたので、7人のうち4人が西川派になります。となると、ルノー株の買い増しを行わないとは限りません。
そしてそれを行うとすれば、取締役会メンバーが現構成となっている、いまのタイミングかもしれません。
クーデターを仕掛けた側が、ゴーン排除後のことを何も考えていないとは思えませんし。
つまり、意外と早く、減配が行われるかもしれないわけです。
実際のところ、このあたりの話になると、私ごときの予想や分析のレベルを超えており、「よくわからない」というのが正直なところです。ここまで書いていることも、あるいは見当違いかもしれません。
ただ、減配のリスクが、以前よりも高まっているのは事実だと思います。
また、ゴーン逮捕により、日本国内では日産の自動車販売に影響が出るでしょう。
日産は国内販売比率が低いですし、世界の販売数に大きな影響にはならないかもしれませんが、経営が混乱すれば業績に影響が出る可能性はあります。
そういうことをいろいろ勘案すると、日産株は、いったん手放したほうがいいかな、と思ったわけです。
4分の1だけ持ち株を残したのは、たいした株数ではないし、株主という当事者の立場で動きをしばらく見てみよう、という野次馬的な気持ちです。
減配が確実視されるまでは、950円水準は維持すると思うので、売り急ぐこともありません。
日産が潰れることも当面ないと思いますし、無配転落の心配もいまはなさそうなので、株が紙くずになることはないでしょう。