高校時代の同級生が死んでいた
高校時代の同級生が死んでいたことを、偶然知りました。取り立てて仲が良かった友人ではありませんが、印象が強烈な男だったので、いまもよく覚えています。
その彼が死んでいたなんて。
ウィキペディアで知る
それを知ったのは、ウィキペディアです。
自分の高校のウィキペディアを何となく眺めていて、出身の有名人をクリックしてみたら、その彼の名前が載っていました。仮に「T君」としましょう。
おお、T君、ウィキペディアに載るほどの有名人になったのか、そうか、すごいなあ。
そう思ってクリックしてみると、彼の名前の後に(1969年-2016年)とありました。
え? 没年?
記述を読み進めると、彼の経歴の後、「2016年、くも膜下出血により死去。享年47歳」と書いてありました。
享年47歳。
あのT君は、47歳で世を去ったのか。
頭に残るT君の残像
T君とは特に親しかった訳ではないですが、印象的なシーンがいくつか頭の中に残っています。
音楽の時間に遊んでいたT君が、突然、教師からギターを渡され、即興で中島みゆきの「時代」を弾いて歌ったこと。それで、音楽室がシーンとなったこと。
私の右後ろの席に座っていて、休み時間はいつも古い小説を読んでいたこと。ドストエフスキーをマジメに全部読んでいた人を、私はT君以外に知りません。
理不尽な校則を変えようと、学校側と交渉にあたっていたのも、そういえばT君でした。熱い男でした。
一浪して、超一流大学に進んだことまでは、知っていました。でも、そこから先、私はT君の消息を全く知りませんでした。
絶頂期を前に
ウィキペディアを見ると、研究の世界で名を挙げていたそうです。そういう世界では、50代こそが絶頂期です。
つまり、T君は、いよいよ絶頂期を迎えんとした年齢で、突如倒れ、帰らぬ人となりました。
本当に、もったいない。
研究者としての彼の活躍を、私は何一つ知りませんでしたが、高校時代の彼を思い返してみるだけで、もったいないとしか言いようがない。
あんな男が若死にするなんて。
高校卒業時の余命は29年
私と彼が最後にあったのは、たぶん卒業式の時でしょう。
そのとき、18歳の彼の余命はあと29年だったわけです。
彼はそれを知らなかった。
知るわけはないのですが、でも、残りの人生が29年だと知っていたら、彼はどういう生き方をしただろうか、と考えてしまうのです。
彼のことだから、高校を卒業してからの29年間、全力で生きたのだろうな、と思います。
それでも、29年しか余命がないと知っていれば、絶頂期が50代に来るような生き方はしなかっただろうな、と思わなくもありません。
40歳の7%が60歳までに死ぬ
厚生労働省の完全生命表によりますと、男性の40歳までの生存率は98.245%。100人のうち98人は40歳まで生きられます。
しかし、60歳を迎えられるのは、92.646%に下がります。100人のうち、60歳まで生きられるのは、92人になってしまうのです。
計算方法を変えると、40歳を迎えた男のうち、60歳を迎えられるのは93%。40歳男性の7%は、60歳までに死ぬのです。
7%。
「死」という重大さを考えれば、確率としては非常に大きな数字です。
ちなみに、48歳の男が、60歳まで生きられる確率は95%。70歳まで生きられる確率は85%です。
私は5%の確率で59歳までに死に、15%の確率で69歳までに死ぬわけです。
自分の余命がどのくらいあるのか。それはわかりません。
しかし、心して生きなければ、とつくづく思います。