セミリタイアをするなら「自分の会社」を作ろう
セミリタイアに備えて、私は自分の会社を作りました。妻が社長、私が役員の会社です。資本金は100万円です。
会社を作ったのは、5年前です。
アフィリエイトの利益を移す
会社を作った直接的な目的は、アフィリエイトの利益を個人所得から分離するためでした。いわゆる「法人成り」というやつです。
アフィリエイトの利益を法人に移すことで、個人の所得税率が上がらないようにすることができますし、計上できる経費の幅も広がります。
自分の所得が見かけ上増えないため、勤務先に副業がバレる可能性も小さくなります。勤務先に副業がバレるのは、納税額が変わることが原因の一つだからです。
いわば、節税と副業バレ防止という、二つの目的で「自分の会社」を設立したわけです。
いわゆる「週末起業」ともいえます。
自分が属する団体として
直接的な目的はその二つですが、隠れた目的として、「セミリタイア」がありました。
セミリタイアは、完全リタイアと違い、完全に働かなくなるわけではありません。
サラリーマン退職後も働き続ける以上、働く自分が属する団体として「自分の会社」を作っておこう、と考えたのです。
「自分の会社」なら節税ができる
セミリタイアをする人が「自分の会社」を持つことには、いくつかのメリットがあります。
最大のメリットは、節税です。
事業や投資で得られた収益を、家族に給与として分散できるので、所得税率を抑えることができます。
給与所得控除が使えることもメリットです(これはまもなく廃止されそうですが)。
また、法人なら、株式投資とFXや不動産投資などの損益を合算できます。
株では損失が出ていて、FXで利益が出ている場合、個人では損益を合算できず、FXの利益が所得として計上されてしまいます。
しかし、法人名義で投資をすると、決算時に損益を合算できます。
FX、不動産、アフィリエイト、輸入代理など、法人の事業として行っているものは、すべて損益を合算できます。それにより、余計な税金を払わずに済みます。
自宅を法人名義にすれば、社宅として自分に貸すこともできます。これにより、建物の減価償却費を費用計上できます。
私の場合、現在の自宅マンションを法人に移すことまでは考えていませんが(面倒くさい)、今後、二地域居住などで物件を購入する場合は、法人名義にしようと考えています。
また、新聞図書費や、通信費、交通費、交際費などを経費に計上できます。
このあたりは、一定の割合で、すでに法人経費として計上しています。
私は日経を購読していますが、これも当然法人の経費にしています。
ブログの記事に絡めれば、家族旅行を「出張」とすることだって、できなくはありません。その際に非課税の日当を支払うことも可能です。
最近私は、旅行と関係ないブログに家族旅行の記事が出てきたら、「税金対策だな」と想像するようになりました。
所得を証明できる
所得を証明できることもメリットです。
個人が株式投資などで、申告分離課税にしていると所得に反映されませんが、法人成りして役員報酬をもらう形にすれば、所得証明に反映されます。
そのため、公的な収入証明が必要な場合に、他者に収入額を示すことができます。
クレジットカードの審査も、楽勝で通るようになります。
健保・厚生年金に加入できる
意見は分かれるでしょうが、健康保険や厚生年金に加入できることもメリットかもしれません。
健康保険と厚生年金の金額は、びっくりするほど高額です。
サラリーマンは、半額を勤務先が負担してくれるのでそれほど感じないのですが、「自分の会社」では、全額を実質的に負担しなければなりません。ですので、負担感がハンパなくなります。
そのため、法人成りした場合の最大のデメリットとして、こうした社会保険料負担の増大を挙げる人もいるほどです。
しかし、扶養家族がいる場合は、話が少し変わります。
扶養家族がいる場合、世帯あたりの健保・厚生年金は、国保・国民年金に比べて負担が極端に大きいわけではありません。
保障は健保・厚生年金のほうが手厚いので、負担額がそれほど変わらないのに、保障は手厚くなります。(ケーズバイケースですが)。
健保・厚生年金は、建前上は強制加入で、保険料も高いので「そんなもの加入したくない」という人にはデメリットにもなり得ますが、私はメリットと考えます。
かつて、友人の司法書士が、サラリーマンの私に対して「厚生年金入っているんだよね、うらやましいな」と呟いていたのを、忘れられません。
私は勤務先を退職したら、自分の会社で、健保・厚生年金に加入するつもりです。
「会社経営者である」という気分
こうした実務的なメリットとは別に、個人的に大きいのは、心理的なものだと思います。
「自分は会社経営者である」という気分は、なんとなく気持ちいいものです。
毎年の決算は自分の成績表みたいで、良くても悪くても、仕事のモチベーションに繋がります。
外部に対しても、「会社経営」という、組織に紐付いた肩書きは、社会的信用を確保するのに活用できます。
デメリットは「面倒くさい」
法人を持つことにはデメリットもあります。
なにより、いろいろ面倒くさい、ということです。
たとえば、法人になったら、複式簿記で帳簿を付け、毎年決算書を作らなければなりません。
私は、最初の2期は勉強のため自分で決算書を作っていましたが、とても面倒なので、3期目からは日常の経理とともに、税理士に頼みました。
税理士費用が、当然かかります。
こうした費用も含め、会社を維持するためにはコストがかかります。
たとえば法人税の均等割など、「会社を持っているだけでかかるお金」も必要になります。
こうしたコストは、少なくとも年間20~30万円にはなります。
したがって、セミリタイア後の事業で、それなりの利益を得られるメドが立っていないなら、「自分の会社」を持つ意味は小さくなります。
「ほとんど何もせずに暮らしたい」という、完全リタイアに近い人の場合は、法人なんてあっても邪魔なだけでしょう。
また、株しかやらないなら、個人で源泉分離課税にしてしまったほうがラクだと思います。
法人にお金が貯まってしまう
最後に、仮に上手に節税できたとしても、お金は法人に貯まるだけです。
法人のお金は法人のお金であって、個人のお金とは異なります。
それを自分のお金に移すには、役員報酬として自分に支払わなければならず、そのときに所得税がかかります。
そうなると、せっかくの節税に意味がなくなってしまいます。
合同会社で十分
法人を作る手続き自体は、それほど複雑ではありません。
とくに、合同会社なら、ほぼ全て自分でできるでしょう。
「自分一人の会社」なら、合同会社で十分です。
私が持っているのも、合同会社です。
いまのところ、代表(社長)は妻です。
これは、自分が代表になると、登記にその旨が掲載されてしまうので、副業バレ防止のために、妻を代表にしています。
勤務先を退職したら、自分が代表になる予定です。
資本金はいくらでも構いませんが、対外的な信用を考えれば100万円くらいでいいと思います。