リーマンパッカーが50歳でセミリタイアを目指す

妻子ありでセミリタイア。高配当株、ETF、米国株、FXなどに投資しつつ、ネット副業で暮らすことを目標とするブログ。

「残業代ゼロ」で働いてきてわかったこと

裁量労働

残業代ゼロ法案」という法律が、総選挙後の国会で審議に入りそうです。要は、裁量労働制の職場を広げる、という趣旨です。

裁量労働制のベースには、ホワイトカラーの仕事は、時間で測られるべきではなく、成果で測られるべきだ、という考え方があります。

これには、一定の合理性があります。しかし、法の趣旨が、現実の労働現場で徹底されないことは、日本ではよくあることです。

裁量労働で働き続けて

私は、裁量労働制の仕事を永らく続けてきました。

裁量労働とは、すなわちいくら働いても残業代ゼロです。

早く帰っても給料が減らないかわりに、いくら働いても給料は増えません、という制度です。

 

残業代に相当する「裁量手当」を、毎月定額でもらいます。私の場合は、本給の5割程度が裁量手当です。

世の中の裁量手当としては、高い方ではないか、と思います。給料1.5倍ですから。

裁量労働制が導入されるまでは、とにかく残業が多い職場でした。

そのため、裁量労働制が導入されるときの受け入れ条件として、労組が裁量手当を当時の平均的な残業代よりも高くすることを求めたから、現在の金額になったと聞いています。 当時の委員長、GJです。

 

裁量労働制の職場といってもいろいろあるでしょうが、私の職場では出社時刻も退勤時刻も定めがありません。

ただ、何時であろうと会議があればその時間に出なければなりません。ルール上は、1日1回、職場に顔を出せば出勤とみなされます。

会議などがなければ、午前中に出社すればOK、というのが、暗黙のルールです。これはとてもラクです。

午後は、たとえその日の仕事が早く終わっても、たとえば15時に「お疲れ~」と帰るわけにはいきません。

いや、本当は帰ってもいいんですよ、ルール上は。

でも、ニッポンの職場では、そんなことが許されないのは、みなさんご想像の通りです。 なんとなく、18時くらいまでは、会社にいるのが暗黙のルールになっています。

 

つまり、正午から18時くらいまでが、暗黙の「コアタイム」となります。

ですので、打ち合わせなどは、13時~17時くらいに行われることが多いです。

ただ、会議によっては、午前10時や11時頃からのスタートもあります。午前9時開始の会議はまずありません。

 

仕事終わりは日によって違います。今はタクシー代が出ないので、遅くとも終電までには帰ります。

早ければ、それこそ18時に帰るときもあります。サッカー代表戦の試合が見たい日は、早く家に帰ったりします。

会合が多いので、18時に会社を出て、会合をして、22時くらいに帰る、ということも多いです。

メリットも大きい制度だが

裁量労働制は、法の趣旨通りに運用されていれば、労働者のメリットが大きな制度だと思います。

15時に帰ってはいけない暗黙のルールがあるにしても、本当に用事があるときは帰りますし、帰れます。

1日1回の出社義務はありますが、それさえクリアすれば家で仕事だってできます。

これは、子どもが生まれたばかりのときは、本当に助かりました。

 

 

逆に、うんざりする点もいっぱいあります。

何より、上司が部下の労働量を気にしなくなることが問題です。

上司から見ると、仕事を部下に投げておけば、「裁量」で適当にこなしてくれますので、残業代の予算や労務管理を考える必要がありません。 そのため、気軽に仕事を投げてきます。

仕方ないので、それを「裁量」で仕事を早く終わらせたら、「あいつは余裕がある」と見込まれて、さらなる仕事を振られます。

結局、一生懸命やったものが労働量的には損をする、というシステムなのです。

逆にいうと、仕事があまりできない人には天国のシステムです。

のんびり仕事をしていても、手当はしっかりもらえるのですから。

でも、そういう人は、そのうち異動で、非裁量部門に飛ばされてしまいます。

悪用しようと思えば悪用できる

裁量労働でもタイムカードはあります。

「社員の健康を守るために、労働過多にならないよう、勤務時間を把握する必要がある」というのが、経営側の言い分です。

それはウソではないでしょうが、「労働時間が少ない人をチェックする」という側面もあります。

 

私は昔、馬鹿正直にタイムカードを少なめに付けていたら、当時の上司から「もう少し多めに付けてくれ」と注意されました。

暗に「もっと働け」と言われているのかと思えばそうでもなく、部下の労働時間が少ないと、部員の数を減らされてしまうから、というのがその理由でした。

経営陣は、常に従業員を目いっぱい働かせようと、目を光らせているようです。

 

みなさんが容易に想像できるように、裁量労働は、経営者側が悪用しようと思えば、いくらでも悪用ができる制度です。

裁量手当を少なめにして、どう考えても定時ではできないような大量の仕事を命じれば、残業代を出さずに、合法的に長時間労働をさせることができます。

「裁量」の基準となる仕事量をはっきり定めることができれば話は別ですが、そんなことは無理でしょう。

 

私の仕事量が近年激増しているのも、この裁量労働制にあると思っています。果てしない仕事を片付ければ片付けるほど、仕事量が増えていく。そして有給休暇が取れなくなります。

というか、今年は夏休みすら取っていない。10年前の、バックパッカー全力投球の自分なら、あり得ないことです。

 

旅に出られないなら、なんのために仕事をしているのか。