リーマンパッカーが50歳でセミリタイアを目指す

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55歳の溝、または、鉄のカーテン

定年イメージ

退職について社内規定を調べてみると、一つの年齢がキーになっていることがわかりました。

それは55歳です。

55歳まで勤務すると、退職時の扱いが有利になるのです。

退職金の係数が異なる

たとえば、退職金

私の会社の退職金の計算方法は、基本給×勤務年数×係数です。いわゆる「基本給連動計算方式」と呼ばれるものです。

 

この「係数」は55歳を境に大きく上がります。

54歳以下を1とすると、55歳以上は1.3くらいになっています。

つまり、55歳まで勤務すると、退職金が一気に3割増しになるのです。

企業年金も優遇される

企業年金に関してのルールも、55歳が分かれ目です。

企業年金は、退職金を会社に預けておくと、一定の利率で運用して、分割支給してくれるものです。この運用利率が、55歳以上は54歳以下に比べて倍以上も高く、運用期間も相当に長いのです。

 

要するに、55歳まで勤めることで、退職金が1.3倍になり、それを元手に運用される企業年金の利率も高く、はるかに長く預かってもらえるのです。

55歳まで勤めると、年金が、国民年金、厚生年金、企業年金の3階建てとなり手厚く支給されるので、老後の心配は、ほとんど要らなくなります。

55歳は「定年扱い」

一方で、55歳を超えると、昇給はありません。

私の会社に役職定年の制度はありませんが、ごく一部の出世組を除き、ラインの管理職から外れますので、事実上役職手当も支払われなくなります。

 

要するに、会社としては55歳まで勤めたら、「定年」に準ずる扱いをしているのです。

55歳から先は、再雇用ではありませんが、それに近づく形となり、社内的には「余生」扱いになるわけです。

かつての名残

こうした制度になっているのは、私の勤める会社だけではなく、55歳以降を「定年退職に準ずる扱い」や、もっとはっきりと「選択定年」とする企業は数多くあるようです。

なぜそうなっているのかといえば、昔の日本は55歳定年が一般的で、20世紀末に、それが60歳まで延長されたからでしょう。

さらに、21世紀に入り、希望者全員の65歳までの雇用が義務づけられて、今日に至っています。

そのため、55歳、60歳、65歳に、退職に関する区切りがあるのです。かつての名残ですね。

 

そのなかでも、55歳は大きな区切りです。54歳と55歳には、退職時の扱いに天と地ほどの差があります。

55歳のカベ」とでも表現しようかと思いましたが、壁と言うよりは「溝」ですね。

 

退職に関しては、「55歳の溝」があります。

 

55歳の溝は非常に大きく深く、溝の手前と向こう側の風景はまったく違います。

たとえていえば、冷戦時の「鉄カーテン」でしょうか。

55歳まで勤めれば、豊かな西側世界のような老後が待っていますが、54歳までに退職したら、質素な東側世界で節約しながら生きていかなければならない、というような。

40代後半は躊躇する

こうした冷戦的なルールを前にして、40代後半での退職を躊躇するのは、私だけではないでしょう。

私は48歳。来年には49歳になります。

あと6年ガマンすれば、「定年退職扱い」という暖かい制度に守られる約束された老後が待っているのです。

にもかかわらず、その果実を得ないで会社を去ってしまうのか。

 

6年

 

小学生にとって6年は、永遠のように長いでしょうが、48歳の私にしてみれば、これまでの人生の8分の1にすぎません。

20年以上、サラリーマンを続けてきたのですから、6年くらい、がんばれば耐えられるでしょう。

しかし、健康寿命を70歳とすれば、私の余命はあと22年しかありません。そのうちの6年をさらに会社に捧げるのは、もったいない気もします。

 

そして、我が子は3歳。6年後は9歳です。親離れが少しずつ始まる頃でしょう。

いちばん親と遊んでくれる3~9歳の時期をサラリーマンとして費やしてしまい、やっと自分が自由になったら、子どもは親離れしていくのです。

そう考えると、これからの6年間こそが、私たち家族にとってかけがえのない時間になるかもしれない。

 

40代前半の方なら、55歳はまだ遠いですので、気にせずに会社を辞められると思います。

また、50代に突入してしまうと、あと少しだからと我慢できると思います。

「55歳の溝または鉄のカーテン」を最も思い悩むのは、40代後半でしょう。

 

定年退職まで一つの会社に勤めることを前提にしている日本の諸制度は、このように、途中退職者にとっては理不尽なことが多くあります。

「定年まで勤めても、途中で辞めても、同じ扱い」という社会に、早くなればいいのですが。