高配当株としてのJALを考える
私のようなバックパッカーは、得てして航空株が大好きです。しかし航空株は、業績が不安定なので、高配当株として考えるにはリスクがあります。
とはいえ、JALは再生後の財務状態が良好で、健全経営が続いています。株主優待券の流通価格も高いので、あわせればそれなりの高配当が期待できます。
高配当株として長期保有することを前提に、JALを検討してみました。
JALの配当方針
JALの配当方針は、以下の通りです。(同社IRより)
当社は、株主の皆さまへの利益還元を経営の最重要事項のひとつとしてとらえており、将来における企業成長と経営環境の変化に対応するための投資や強固な財務体質構築に資する内部留保を確保しつつ、継続的に配当を行うことにより、株主の皆さまへの利益還元を積極的に行うことを基本方針としております。
で、その配当方針を現実化したのが、配当金実績です。以下の通りです。中間配当を含んだ金額です。
2013年3月期 95円 2014年3月期 80円 2015年3月期 104円 2016年3月期 120円 2017年3月期 94円 2018年3月期 105円
株主優待券の価値
JALの株価は、この数年、3,000円~4,500円で推移しています。仮に4,000円で、配当100円とすると、配当利回り2.5%で、高配当とはいえません。
しかし、100株に付き1枚の株主優待券がもらえます。その優待券の流通相場はエリアによりますが、新橋あたりで買い取り価格の高い金券ショップを探すと、4,000円程度で売却できます。
100株に付き、4000円の優待券販売益があると考えると、優待利回り1%です。そして、この4,000円は、実質無税です。厳密には税金がかかりますが、申告しなくてもまず問題にならないので、ここではうるさいこと言わず、無税と考えます。
したがって、配当金ならかかる約20%の税金を考慮すれば、株主優待券には5,000円に相当する価値があると考えられます。
優待利回りは1.25%
つまり、優待利回りは1.25%に相当します。優待利回りといっても、現金化した上での価値ですから、実質的には配当利回りと同じです。
なお、優待券を使えば、航空券を半額で購入できますので、そうして活用する人は、もっと優待の価値が高くなります。ただ、それはここでは考慮しません。
JALの配当金は業績により変動しますが、過去の実績からおおむね100円とすると、株価4,000円で配当2.5%+優待1.25%の、3.75%の実質配当利回りです。そう考えると、悪くない水準です。
実質50円配当が保証されている
航空株は、景気変動や原油価格の影響を受けやすく、配当金額は安定しません。無配に転落することすら十分あり得えます。そのため、配当金生活には向かない、と主張する人もいます。
たしかにそれはその通りですが、株主優待券がある限り、実質的な無配にはならない、ともいえます。航空株の株主優待は、配当より安定しています。
その意味では、実質的な無配転落は起こりにくく、株主優待券の相場の暴落も考えづらいので、100株に付き税込5,000円の配当金が安定して見込めると考えてみてもよいかもしれません。つまり、50円配当が見込める銘柄です。
その他の指標は?
その他の指標も見てみると、現状(株価4,227円)ではPERが14.37倍、PBRが1.55倍、ROEが11.60%と、悪くはありませんが、割安とまでは言えない水準です。
そう考えると、株価4,000円で買うのは高く、3,500円を下回ったくらいから、打診買いを始めるのが妥当でしょうか。
株価3,500円で、配当100円とすると、優待券価格(1株あたり税込50円)を含めて、実質配当利回り4.29%となります。これでも、航空株の不安定性を考えると、ちょっと割高ですが、そのくらいなら、検討に値する水準と思います。